注意すべき家事代行トラブル!対策と対処法で安全に利用しよう

自身の代わりに家事を行ってくれる家事代行は、定期利用だけでなく単発利用も可能な利便性の高いサービスのひとつです。一方で破損や盗難をはじめとするトラブルが気がかりで、利用に踏み出せない人も少なくありません。
この記事では、家事代行で起こる可能性のあるトラブルを紹介します。利用を検討したり心構えをしたりする際に役立ててください。あわせてトラブルの発生を未然に防ぐ対策法と、万が一の場合に役立つ対処法を紹介するので、安全に家事代行サービスを利用しましょう。

目次

家事代行で発生リスクのあるトラブルとは

家事代行は利便性の高いサービスであると同時に、他人を家に入れることによるトラブルが発生する可能性のあるサービスです。なかにはリスクを低減することが可能なトラブルもありますが、人が作業するからこそ防げないトラブルも少なくありません。家事代行を依頼する前に、発生する可能性のあるトラブルをあらかじめ把握しておくことが大切です。

料金に関する家事代行トラブル

説明されていない追加料金の請求をはじめとする、料金に関するトラブルが発生したケースがあります。以下は、料金に関する家事代行トラブルの事例の一部です。

・事前説明のなかった、スタッフの指名料や交通費の請求があった
・最低利用時間について利用者が把握しておらず、予想以上の料金がかかった
・予想していなかった、キャンセル料や延長料金が発生した

料金に関するトラブルの多くは、利用者側と業者側の認識の違いや確認不足・説明不足が原因だと考えられています。家事代行の依頼契約を結ぶ前に利用料金に関する不明点を解決したり、訪問したスタッフに家事を依頼する前に追加料金がかからないかを都度確認したりして、料金に関するトラブルを防止することが大切です。

スタッフに関する家事代行トラブル

家事代行スタッフに関するトラブルが発生するケースも少なくありません。たとえ作業内容の質に問題がなかったとしても、スタッフとの相性が合わなければ心地よくサービスを受けることがむずかしい場合もあるといえます。以下は、スタッフに関する家事代行トラブルの事例の一部です。

・スタッフが遅刻や無断欠勤をした
・コミュニケーションがうまくとれない
・マナーや常識に欠けた印象がある
・相性がよくない
・利用時間内にもかかわらず、スタッフが帰った
・担当スタッフが変更となり今までとは異なる作業をされた
・料理の味付けが口に合わない
・掃除が雑な箇所がある

スタッフとの相性は、実際に対面して作業を依頼しなければわからない場合があります。スタッフの変更ができる家事代行業者を選び、なにかあればスタッフの変更を依頼できるようにしておくとよいです。また、スタッフとのトラブルが発生した場合は、スタッフへの直接注意は避けることをおすすめします。トラブルの悪化を防ぐためにも、スタッフではなく家事代行業者に相談しましょう。

作業の内容や品質に関する家事代行トラブル

スタッフのスキル不足やコミュニケーション不足などが原因で、作業の内容や質に関するトラブルが発生するケースがあります。研修を終えたスタッフが派遣されることが一般的とはいえ、以下のような事例が発生することも少なくありません。

・依頼内容を行わない
・注意事項を守らない
・作業スピードが遅く、時間内に作業を終えられない
・作業の質がよくなかったり、作業の質にばらつきがあったりする
・使用した道具などを定位置に戻さない

事前に依頼内容をまとめたメモを渡すなどして、認識の相違やスタッフの作業忘れの防止に努めるのもひとつの手です。スタッフが了承した内容を時間内に終えられなかったり、作業の質が悪かったりする場合は、家事代行業者に相談してトラブルの解決を図ります。
注意すべきは、スタッフに求めるクオリティです。たとえば掃除を依頼した場合、頑固な汚れの完全除去をスタッフに求めることはできません。なぜなら家事代行はハウスクリーニングとは異なり、利用者の家にある道具を使用して一般的な家事を行うサービスだからです。専門道具や特殊な薬品を使用するほどのクオリティは得られないことを理解したうえで、作業を依頼するようにします。

故障や破損に関する家事代行トラブル

スタッフが誤って、道具や家具を故障させたり破損させたりするトラブルが発生したケースがあります。以下は、故障や破損に関する家事代行トラブルの事例の一部です。

・ガラス製の食器や花瓶を割る
・掃除の際に壁や床などを傷つける
・物を落下させてしまい破損させた
・コンセントを抜いてしまい、パソコンのデータが消えた
・掃除道具を誤った用途で使用して浴槽などを傷つけた

たとえスタッフが細心の注意を払っていたとしても、予期せぬ故障や破損のリスクをなくすことはむずかしいといえます。万が一、破損や故障が発生した場合は利用者とスタッフ間で解決するのではなく、速やかに家事代行業者に連絡することが大切です。多くの家事代行業者は損害賠償保険に加入しているため、保険を通して弁償や補償が行われます。
ただし、故障や破損を起こしたにも関わらずスタッフが気付いていなかったり、意図的に報告しなかったりするケースがあるので注意が必要です。作業後は故障や破損が発生していないかを確認するなどして、トラブルの早期発見と早期解決に努めましょう。

紛失や盗難に関する家事代行トラブル

紛失や盗難に関するトラブルは、家事代行を利用するうえで不安視されやすい内容のひとつです。とくに、普段使用しない物は紛失や盗難に気が付きにくいため、トラブルが発覚するのに時間がかかるケースも少なくありません。以下は、紛失や盗難に関するトラブルの事例の一部です。

・ゴミだと思い、利用者の必要な物を処分した
・異なる収納場所に片付けた
・掃除中、棚の後ろに物を落とした
・貴重品や現金などを盗んだ
・衣類や食料品などを持ち出した
・預かっていた鍵を紛失した

紛失や盗難に関するトラブルが発覚した場合は、速やかに家事代行業者へ相談するようにします。スタッフへの聞き取り調査にてトラブルが解決したり、家中を確認して紛失物が見つかったりするケースもありますが、警察へ被害届を提出しなければならない事態に発展するケースもゼロではありません。
念のため貴重品は金庫に入れておくなどして、紛失や盗難に関するリスクを下げる対策を行いましょう。また、不在時の家事代行は盗難のリスクを上げると考えられるため、可能な限り在宅するのもよい方法です。

家事代行トラブルが発生した際の対処法

トラブルが発生した際は、スタッフに直接注意したり抗議したりせず、家事代行業者へ連絡してトラブル解決につながる交渉を行うのが基本です。ただし、盗難をはじめとする犯罪行為があった場合や疑いがある場合は、警察への連絡が必要となるケースもあります。以下は、家事代行でトラブルが発生した際の基本的な対処法です。

家事代行業者へ連絡する

家事代行に関するトラブルが発生した際はトラブルの内容を問わず、家事代行業者に連絡するようにします。トラブルの悪化を防いだりトラブルを速やかに解決したりするためにも、スタッフに直接注意することは避けるとよいです。また、家事代行業者に連絡をする場合は以下を伝えることで、スムーズなやり取りが期待できます。

・トラブルの内容やスタッフに対する要望、不満
・トラブルが発生した日時
・スタッフの氏名
・トラブルに関する報告がスタッフからあったかどうか
・発生したトラブルに関する、証拠写真などの有無

ただし、マッチング型のような個人と家事代行契約を結ぶケースでは、個人間でのトラブル解決が求められます。個人との契約では家事代行業者の介入はないため注意が必要です。
また、故障・破損・紛失・盗難のトラブルに関しては、証拠となる写真や動画を撮影しておくことをおすすめします。口頭での説明がむずかしいトラブルですが、家事代行の作業前と作業後の比較写真があればスムーズに交渉が進められる可能性があるためです。事代行業者に冷静に事実を伝えて、トラブル解決に対する交渉を行いましょう。

消費者センターや国民生活センターに相談する

家事代行業者と交渉してもトラブルが解決できなかったり、個人契約をしたスタッフとのトラブル解決がうまく進まなかったりした場合は、消費生活センターや国民生活センターに相談するとよいです。いずれの機関も、消費者と事業者間で発生したトラブルを解決するための手助けを求められます。
消費生活センターは地方自治体が運営している生活相談窓口であり、発生したトラブルに対する相談を行うことが可能です。独立行政法人である国民生活センターにおいても、消費者生活センターと同じ相談をすることが可能ですが、裁判外紛争解決手続(ADR)を通しての仲介が期待できます。裁判外紛争解決手続(ADR)とは裁判を起こすことなく、仲裁・調停・あっせんなどによってトラブルの解決を図ったり利害の調整を行ったりする手続きのことです。
トラブル解決への糸口を知りたい場合は消費生活センターへ、自身では解決ができないと判断した場合は国民生活センターへ相談することをおすすめします。とはいえ、双方は提携関係にある機関です。相談しやすいほうを利用しても問題はないといえます。

参考;独立行政法人 国民生活センター/業務内容

https://www.kokusen.go.jp/hello/work.html

家事代行に関するトラブルを未然に防ぐ方法

便利なサービスである家事代行を安心して利用するためにも、トラブルを未然に防いだりリスクを低減させたりする対策は重要です。場合によっては対策をとることで、トラブルの解決をスムーズに進められるケースもあります。手軽に取り入れられる対策もあるので、可能な範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。

契約内容を細かく確認する

トラブルの発生を未然に防ぎたい場合は、契約内容を細かく確認したり疑問点を解決したりすることが大切です。見積書や契約書を読み込むだけでなく、Webサイト上で規約やQ&Aを確認しておくようにします。以下は、最低限確認すべき内容です。

・サービス内容や料金
・入会金や年会費の有無
・キャンセル規定
・最低利用時間
・追加料金や延長料金が発生する条件
・トラブルが発生した際の対応
・作業の品質や、求めてよいクオリティの高さ
・掃除用具などの用意が必要な物

契約プランが複雑であったりわかりにくかったりする場合、認識不足などを原因としたトラブルに発展する可能性が高くなるため注意が必要です。契約内容や料金設定がわかりやすく、疑問点に対してしっかりと向き合ってくれる家事代行業者を選ぶことをおすすめします。

損害賠償保険へ加入している家事代行業者を選ぶ

万が一のために、損害賠償保険へ加入している家事代行業者を選ぶとよいです。加入の有無の確認にくわえて、補償上限金額や補償の適用範囲もあわせて確認しておきます。
また、一般社団法人全国家事代行サービス協会による、「家事代行サービス認証」を取得している業者を選ぶのもひとつの手です。家事代行サービス認証とは、作業の質やトラブルに対する姿勢などを評価したものを指します。信頼できる業者であるかを判断する際の、ひとつの判断基準になるでしょう。

貴重品は金庫などに保管したり、カメラを設置したりする

貴重品は金庫に保管したりカメラを設置したりして、トラブルが発生しにくい環境を作ることは大切です。とくにカメラは盗難の抑止力になるだけでなく、万が一トラブルが発生した場合の証拠になる可能性もあります。ただしカメラを設置する際は、事前に業者とスタッフに撮影する旨を伝えておきましょう。
また、郵便物をはじめとする個人情報が記載された物の保管方法にも注意するとよいです。場合によっては「入ってはいけない部屋」として一室を指定し、貴重品や個人情報が記載された物をまとめて保管しておく方法もあります。

家事代行の作業前の状態を写真などに記録する

トラブルの発生を未然に防ぐことはできませんが、作業前の状態を写真などに記録しておく行為が、トラブル発生時の備えとなる場合もあります。以下は、作業前の状態を記録することで得られるメリットです。

・作業によって発生した破損や汚損であるかの確認ができる
・紛失や盗難に気付きやすくなる
・スタッフの作業内容やクオリティが確認できる
・トラブルが発生した際の証拠になる

部屋全体の記録がむずかしい場合は、作業を依頼する箇所のみを写真や動画に撮るのもよいといえます。トラブルの深刻化を防ぐためにも、作業前の状態を記録しておきましょう。

依頼内容を具体的に伝える

依頼内容を具体的に伝えることで、利用者とスタッフ間で発生しやすい認識の違いによるトラブルを防止する効果が期待できます。依頼内容を伝える際は、依頼内容を紙に書いて渡すとよいです。メモによってスタッフが依頼内容を正しく把握できるだけでなく、利用者が依頼内容を伝え忘れることも防止できます。以下は、伝えておくとよいポイントです。

・依頼したい内容
・依頼内容の詳細や求めるクオリティ
・作業で注意してほしいこと
・服の洗濯方法など、こだわりのある内容
・ペットがいる場合は、ペットへの対応や注意事項
・入られたくない場所や触れられたくない場所

また、依頼内容を伝える際は、依頼内容を時間内に終えられるか、疑問点がないかどうかをスタッフに確認することが大切です。あわせて追加料金が発生しないかどうかを確認できれば、料金面でも安心できるといえます。

スタッフの雇用形態を確認する

家事代行業者の雇用形態は主に2通りあります。ひとつは業者とスタッフが直接的な雇用関係を結ぶケースです。利用者とスタッフの間にトラブルが発生した際は業者がトラブル解決に努めてくれたり、作業の品質を一定に保つ教育が実施されていたりします。
ふたつは業者が仲介役となり、フリーランスをはじめとする個人事業主を利用者に紹介するケースです。利用者は個人と契約することになるため、トラブルが発生した場合は利用者が個人事業主と直接交渉する必要があります。なかには損害賠償保険に未加入の個人事業主がいることからも、個人契約には慎重な検討が必要です。
従って、家事代行に関するリスクを低減させたい場合は、できる限り家事代行業者と契約することをおすすめします。

家事代行トラブルを防ぐには事前準備が大切

人が作業をする以上、破損などのトラブルが発生する可能性はゼロではありません。トラブルを防ぐためには、契約内容や料金について確認したり事前準備をはじめとする対策を講じたりすることが大切です。
また、スタッフとのコミュニケーションを円滑に行うことは、トラブルを防止するだけでなく家事代行サービスの満足度を高める効果も期待できます。疑問点を解決したり要望をわかりやすく伝えたりして、便利な家事代行を安全に利用しましょう。

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