引っ越し時のハウスクリーニングは必要か?費用相場を紹介

ハウスクリーニングは、自身では落とせない頑固な汚れを除去したい場合や清掃に時間や手間をかけられない場合に重宝されるサービスです。とくに引っ越し時においては、快適な生活をスタートさせたり退去費用を抑えたりする際に役立ちます。一方で、退去時にハウスクリーニングに依頼すべきかを悩む人も少なくありません。
この記事では、引っ越し時にハウスクリーニングを依頼する際の費用相場や注意点にくわえて、退去時にハウスクリーニングで除去したほうがよい汚れなどを紹介します。退去費用に関するトラブルを防止するためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

引っ越し時のハウスクリーニングは人気!依頼するメリットとは

特殊な薬剤や器具を用いるハウスクリーニングでは、落としにくい蓄積された汚れの除去や部屋全体の清掃を依頼することが可能です。なかでも、引っ越し時にハウスクリーニングを利用する人は多く、入居時と退去時では以下のメリットが期待できます。

入居時にハウスクリーニングを依頼するメリット

管理会社や大家などの貸主が賃貸物件を貸し出す際、クリーニングを行う義務はありません。敷金などに清掃費が含まれているのであれば、貸主はクリーニングを行う必要がありますが、ハウスクリーニング業者へ依頼せずに貸主自身が清掃を行うだけでもよいとされています。従って、以下に該当する場合は入居時にハウスクリーニングを依頼するのもひとつの手です。

・入居前の清掃状態に不満がある
・自身が納得できるくらいに丁寧な清掃を望む
・「清掃なし」を条件に家賃交渉をして入居する

注意すべきは、引っ越しを完了させたりハウスクリーニングを依頼したりする前に、入居時の汚れや傷の程度を記録しておく点です。記録しておくことで、退去時の清掃費用負担に関するトラブルの防止などが期待できます。

退去時にハウスクリーニングを依頼するメリット

敷金を支払って入居した賃貸物件を引っ越しする際、ハウスクリーニングを依頼することで敷金が戻ってくる金額が増えたり、退去費用の請求を防止したりする効果が期待できます。汚れの程度によっては自身での清掃で問題ないケースがあるため、汚れが酷い箇所の清掃のみをハウスクリーニングに依頼するのもよいでしょう。

引っ越しの退去時にハウスクリーニングは必要?

賃貸物件を退去する際、基本的にはハウスクリーニングを行う義務はありません。なぜなら、自然摩耗や経年劣化による汚れや傷は貸主の負担となり、借主の負担となる原状回復費用やクリーニング費用は敷金から支払われるケースが一般的であるためです。ただし、以下に該当する場合、退去費用を請求されることがあります。

・入居中、原状回復義務に該当する汚れや傷を付けてしまった
・敷金なしで入居した
・特約によって、ハウスクリーニング費用などの負担義務が明記されている

退去費用を請求される汚れや傷があったり、日常生活で付着した酷い汚れがあったりする場合、事前にハウスクリーニングを依頼しておくことで退去費用を抑えられる可能性があります。引っ越しする際は、自己負担となる汚れや傷の有無を確認したうえで、ハウスクリーニングを利用するかを判断するとよいです。

原状回復義務に該当する汚れや傷とは

国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、借主は原状回復義務を負う旨が明記されています。原状回復義務に該当する汚れや傷は、以下のような故意・過失・善管注意義務違反による消耗・き損です。

・掃除を怠ったことによる汚れ
・家具を移動させる際に付けた傷
・タバコによる壁の黄ばみや臭い
・ペットによる汚れや傷

原状回復義務は引っ越し前と同じ状態への回復ではなく、借主の責任範囲によって生じた汚れや傷を復旧することを指します。たとえば、掃除を怠ったために生じた浴室やトイレの水垢やカビは原状回復義務に該当し、借主は清掃にかかる費用を負担しなければなりません。自身で汚れを落とせなかったり退去費用を軽減させたりしたい場合は、退去時にハウスクリーニングを依頼するのもひとつの手だといえます。

参考:国土交通省住宅局/原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷とは

自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷は、借主に回復義務は課されません。従って、自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷のみが見受けられる場合は、それらを回復させるためのハウスクリーニングは必要ないといえます。以下は、自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷の一例です。

・エアコン設置による壁のビス穴や汚れ
・一般的な家具を設置した際に生じた凹みや跡
・耐用年数を過ぎて故障した住宅設備
・日焼けによる変色
・熱割れやさび割れによる窓ガラスの損傷

国土交通省の定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって、自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷に関する修繕費用は、貸主の負担となることが明記されています。ただし、賃貸契約の特約が設けられている場合は、特約が優先されるため注意が必要です。引っ越しをする際は特約を確認したうえで、ハウスクリーニングを依頼するかどうか判断することをおすすめします。

参考:国土交通省住宅局/原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

引っ越し時におけるハウスクリーニングの費用相場

引っ越し時におけるハウスクリーニングの料金は、清掃を依頼する範囲や家具家電などの有無で異なるケースが一般的です。また、家具家電がある状態での依頼は、家具家電のない状態と比較して20%から30%ほど料金が高くなる傾向にあります。以下は、間取りごとのハウスクリーニングの費用相場です。

間取り空室時の費用相場居住中の費用相場
1R、1K15,000円~32,000円15,000円~35,000円
1DK、2K18,000円~36,000円24,000円~37,000円
1LDK、2DK23,000円~45,000円32,000円~49,000円
2LDK、3DK39,000円~67,000円47,000円~80,000円
3LDK、4DK47,000円~88,000円57,000円~93,000円
4LDK、5DK~62,000円~100,000円~

ハウスクリーニングにかかる費用を抑えたいのであれば、家具家電のない状態で依頼するとよいです。場合によっては、特定の場所や設備に限定してハウスクリーニングを依頼する方法でも、費用を抑えられる可能性があります。以下は、場所や設備ごとのハウスクリーニングの費用相場です。

場所、設備費用相場
浴室12,000円~18,000円
キッチン12,000円~20,000円
換気扇7,000円~15,000円
トイレ6,000円~9,000円
洗面所6,000円~9,000円
エアコン8,000円~15,000円
床のクリーニング(6畳)9,000円~15,000円
窓ガラス、サッシ1式3,000円~11,000円
カーペット20,000円前後
壁紙5,000円~16,000円

たとえば、浴室の水垢や黒カビなどの落としにくい汚れの除去をハウスクリーニングに依頼し、ほかは自身で清掃することで出費や負担を軽減することが可能です。なかには、複数箇所の依頼で割引を適用するハウスクリーニング業者があるため、いくつかの業者を比較して検討することをおすすめします。

引っ越し時にハウスクリーニングを依頼する際の注意点

ハウスクリーニングは引っ越し時だけでなく、大掃除などのシーズンごとに依頼する人も多いです。特殊な薬剤や器具を用いて清掃されるため、蓄積されて落ちにくい汚れの除去なども期待できます。一方で、ハウスクリーニングを依頼する際に注意しておくべき点があるので、トラブル回避のためにも留意しておくとよいです。

ハウスクリーニングを依頼する前に貸主へ相談する

とくに退去時においては、管理会社や大家などの貸主にハウスクリーニングについて相談してから依頼するようにします。なぜなら、自身が依頼したハウスクリーニングによって部屋の状態がよくなったとしても、貸主は清掃前の状態を知らないため、清掃が不十分だと判断して新たにクリーニング費用を請求する恐れがあるためです。

場合によっては、敷金の範囲で対応できると判断されて自費でのハウスクリーニングは不要となったり、貸主の指定するハウスクリーニング業者があったりするケース少なくありません。引っ越し前に相談しておくことで、不要な出費を防ぐことが期待できます。

賠償責任保険に入っているハウスクリーニング業者を選ぶ

引っ越し時のハウスクリーニングによって物損や漏電などのトラブルが発生する可能性はないとはいえないため、賠償責任保険に加入しているハウスクリーニング業者を選ぶと安心できます。清掃前と清掃後はハウスクリーニング業者とともに部屋の状態を確認して、清掃後に生じた傷などに対して修繕を求められるようにしておくことが大切です。

現地調査を行って見積もりを提示する業者を選ぶ

料金が固定されていたりネット上で見積もりのシミュレーションが行えたりするハウスクリーニング業者がありますが、可能な限り現地調査を行って見積もりを提示する業者を選ぶとよいです。理由として以下があげられます。

・汚れの程度による追加料金の発生を防止できる
・シミなどの気になる汚れが除去できるかどうかを確認できる
・正確な見積もりの提示が期待できる
・清掃以外にかかる費用を確認できる

見積もりを提示された際、具体的な清掃方法や追加料金が発生しないかどうかを確認しておきます。不明点を解決することで、満足できるハウスクリーニングを期待することが可能です。一方で、ネット上で行える見積もりのシミュレーションは、依頼するハウスクリーニング業者を絞る際での利用に適しているため、上手く活用するとよいでしょう。

あわせて、時間に余裕があれば相見積もりをおすすめします。相見積もりは、適正価格を確認できたり信頼できる業者を選んだりする際に役立つためです。引っ越し時は慌ただしくなりやすいといえますが、後悔しないためにも慎重に業者を選ぶようにします。

まとめ

引っ越し時にハウスクリーニングを依頼する際は、汚れや傷を確認しておくことが大切です。汚れや傷の程度を写真に記録しておけば、ハウスクリーニングの清掃によって生じた損害や退去費用に関するトラブルを防止できます。また、借主が義務を負う原状回復に該当する汚れや傷と、貸主が負担する自然摩耗や経年劣化に該当する汚れや傷の区別をつけられるようにしておくとよいです。正しく区別ができれば、不当な退去費用の請求に対して適切に対応できたり、退去時にハウスクリーニングを依頼したほうがよいかを判断したりする際に役立ちます。上手くハウスクリーニングを利用して、スムーズな引っ越しを行いましょう。

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