入居前のハウスクリーニング。注意点や業者の選び方を紹介

ハウスクリーニングは、汚れが蓄積された箇所の清掃だけでなく、新築物件や賃貸物件・中古物件での入居前清掃として利用することが可能です。賃貸物件・中古物件ではあらかじめクリーニングされている場合がありますが、気になる汚れが付着しているケースも少なくないため、ハウスクリーニングの利用を検討するのもひとつの手だといえます。ただし、対処を誤ると、トラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
今回は、賃貸物件・中古物件の入居前に焦点を当てて、ハウスクリーニングを依頼する際の注意点や業者の選び方などを紹介します。管理会社や大家とのトラブルを避けるためにも、紹介する注意点などを確認しておきましょう。

目次

入居前にハウスクリーニングを依頼する理由とは

ハウスクリーニングは物件の売却時や退去時以外にも、入居前や入居中でも依頼することが可能です。入居前にハウスクリーニングを依頼する場合の理由として、以下があげられます。

・入居前のクリーニングが十分でないと感じる
・自分が納得できるくらいに丁寧な清掃を希望する
・「清掃なし」を条件に家賃交渉をして入居した
・中古物件を購入して入居する

自分でハウスクリーニングを依頼するのもよい手だといえますが、可能であれば内見時に汚れを見つけておき、管理会社や大家負担での汚れ除去が可能であるかを確認しておくことをおすすめします。あわせて入居時に汚れの程度を記録しておくことで、退去時の清掃費負担などのトラブル防止を期待することが可能です。

賃貸における入居前のハウスクリーニングは義務ではない

管理会社や大家が賃貸物件を貸し出す際、クリーニングを行わずに貸し出しても問題はありません。ただし、敷金などに清掃費が含まれているのであれば、管理会社や大家がなんらかの方法でクリーニングを行うことが基本です。
注意すべきは、管理会社や大家が行うべきクリーニングはハウスクリーニングのような清掃ではなく、経年劣化による汚れなどを元に戻す「原状復帰」である点です。言い換えれば、管理会社や大家は生活の中で生じる汚れに対するクリーニングを行う義務を負いません。なかには業者にクリーニングを依頼するのではなく、不動産会社や大家が清掃を行うケースもあります。従って、場合によっては入居前に部屋の清掃が必要になる可能性があることを留意しておきましょう。
もし、賃貸契約を結んだ入居後に部屋が汚いことに気がついた場合は、以下を行うことをおすすめします。

・汚れや傷のある箇所や清掃が雑な箇所を写真に残す
・管理会社や大家に相談する
・賃貸契約でクリーニングや退去費用について確認する

場合によっては入居前に清掃費を支払ったにもかかわらず、クリーニングが行われていないケースも考えられます。まずは汚れや傷を写真に残して相談するとよいです。また、汚れや傷を写真に残しておくことで退去時のトラブル防止も期待できます。

参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)/国土交通省住宅局

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

入居前にハウスクリーニングを依頼した際の費用相場は?

ハウスクリーニングの料金は、部屋の間取りや広さによって異なるケースが一般的です。くわえて、家具家電の有無によっても料金は異なり、家具家電のない空室状態で依頼するほうが費用相場は安い傾向にあります。以下は、空室状態と家具家電のある状態での費用相場です。

間取り空室状態での費用相場家具家電のある状態での費用相場
1R、1K15,000円~32,000円15,000円~35,000円
1DK、2K18,000円~36,000円24,000円~37,000円
1LDK、2DK23,000円~45,000円32,000円~49,000円
2LDK、3DK39,000円~67,000円47,000円~80,000円
3LDK、4DK47,000円~88,000円57,000円~93,000円
4LDK、5DK~62,000円~100,000円~

家具家電がある状態での費用相場が高い理由として、荷物の移動や養生に時間と人件費がかかる点があげられます。従って、家具家電をはじめとする荷物を搬入する入居前にハウスクリーニングを依頼することで、費用を抑えることが可能です。
また、ハウスクリーニングは部屋全体だけでなく、気になる箇所のみを依頼することもできます。以下は、ハウスクリーニングの依頼が多い場所や設備における費用相場です。

場所、設備費用相場
浴室12,000円~18,000円
キッチン12,000円~20,000円
換気扇7,000円~15,000円
トイレ6,000円~9,000円
洗面所6,000円~9,000円
エアコン8,000円~15,000円
窓ガラス、サッシ1式3,000円~11,000円
床 (6畳) 9,000円~15,000円
カーペット20,000円前後
5,000円~16,000円

なかには、複数箇所の依頼で割引する業者があります。見積もり時に価格交渉をしたり、複数の業者で見積もりをとって比較検討したりすることをおすすめします。ただし、価格交渉をする際は、無理な要求をしないように注意しましょう。

入居前のハウスクリーニングで依頼されることの多い場所

汚れが気になる特定の場所に限定してハウスクリーニングを依頼する際は、清掃の対象や範囲を確認しておきます。業者によって清掃の対象や範囲が異なっており、場合によっては追加料金での依頼が必要になるケースがあるためです。入居前に依頼されることの多い場所として、以下があげられます。

浴室・洗面所・トイレ

入居前にクリーニングが行われていたとしても、水回りの汚れが気になるケースは少なくありません。付着しやすい水垢や鏡に生じやすいウロコ状の汚れは落ちにくく、管理会社や大家をはじめとする個人での清掃では除去が難しい場合があるためです。ハウスクリーニングに依頼することで頑固な汚れの除去にくわえて、根付くと再生してしまう黒カビや落としにくい黒ずみの除去なども期待できます。

キッチン

キッチンのハウスクリーニングは入居前に依頼するケースのほか、大掃除などの掃除シーズンに依頼する人も少なくありません。ハウスクリーニングのプロの手によって、ガスコンロの油や焦げによる汚れや、シンクの水垢などの除去が期待できます。なかには、食器洗浄機をはじめとする特定の箇所の清掃には追加料金を必要とする業者があるため、見積もり時に確認しておくことが大切です。

換気扇

換気扇のハウスクリーニングでは、フィルターやファンなどの部品を取外した清掃が行われます。入居前だけでなく、個人では清掃しにくい細部の油汚れなどを落としたい場合に依頼するとよいです。また、キッチンや浴室などに設置されている換気扇の清掃は、キッチンや浴室のハウスクリーニング内容に含まれているケースがあります。換気扇単体での料金とキッチンなどの設備全体を依頼した場合の料金を比較して、お得なほうを依頼するのもひとつの手です。

エアコン

エアコンのハウスクリーニングでは、部品やフィルターの清掃が行われます。エアコンの清掃をすることで、電気代の節約やアレルゲンなどによる健康被害の防止効果を期待することが可能です。ただし、お掃除機能付きをはじめとする性能によって料金が異なる傾向にあります。賃貸物件などで入居前からエアコンが設置してある場合は、性能を確認してから費用相場を調べるとよいです。

窓ガラス・サッシ・ベランダ・バルコニー

室内からの汚れと雨風による外からの汚れが混在する箇所は、汚れにあわせた洗剤を用意する必要があるため、清掃に手間がかかるといえます。とくに室外機周辺やベランダの排水溝などは汚れが蓄積しやすい箇所です。管理会社や大家が行うクリーニングでは不十分であったり、クリーニングが行われていても入居までの間に再び汚れてしまったりするケースも少なくありません。入居前にハウスクリーニングを依頼することで、手間なく蓄積された汚れの除去が期待できます。

床・カーペット・壁・天井

一見すると汚れているように見えない、床・カーペット・壁・天井などもハウスクリーニングで依頼されることの多い箇所です。たとえば、掃除機や拭き上げでの掃除がメインとなりやすいフローリングでは、ワックスの塗布を依頼することができます。ワックスには木材の保護効果もあるため、美しい状態を長く保ちたい場合にもおすすめです。ただし、賃貸物件では念のため管理会社や大家に許可を得ておくことをおすすめします。

入居前にハウスクリーニングを依頼する際の注意点

ハウスクリーニングは特殊な薬剤や器具を用いて清掃を行うため、落ちにくい汚れの除去が期待できます。入居前にハウスクリーニングを依頼することで、快適な生活がスタートできるでしょう。一方で、ハウスクリーニングを依頼する際に注意しておくべき点があります。トラブル回避のためにも、注意点をおさえておくとよいです。

清掃前と清掃後の状態を業者とともに確認する

入居前にハウスクリーニングを依頼する際は、業者とともに清掃前と清掃後の状態を確認するようにします。確認しておくとよいポイントは、以下の2つです。

・傷の有無
・気になる汚れが落ちるかどうか

あらかじめ業者と確認しておくことで、万が一、ハウスクリーニング後に傷を見つけた場合にスムーズに対応できたり、気になる汚れが落ちていないなどといったトラブルを防いだりすることが期待できます。また、家具家電がある状態でハウスクリーニングを依頼する場合は、できるだけ外出は避けて立ち合いするとよいです。くわえて、貴重品は身につけておくことでトラブルが回避できるといえます。

料金の安さのみで選ばない

ハウスクリーニングの料金は業者によって異なりますが、安さのみを理由に業者を選ばないようにします。安すぎる業者には、オプションが高額であったり作業が雑であったりする可能性があるためです。見積もり時に清掃内容を確認したうえで、信頼できる業者であるかどうかを判断して選ぶことをおすすめします。

駐車料金が発生する可能性がある

ハウスクリーニングは薬剤や器具を使用するため、荷物を運搬できる車を利用する業者が多いです。車を駐車できるスペースを求められることや、駐車料金が別途発生するケースがあるので、見積もり時に確認しておくとよいです。とくに入居前においては、駐車スペースを確保していなかったり付近のパーキングを知らなかったりする場合も少なくないといえます。可能であれば、付近のパーキングまでの距離や料金を事前に把握しておくことで、スムーズな見積もり依頼が可能です。

失敗しない入居前のハウスクリーニング業者の選び方

ハウスクリーニング業者は数多くあり、得意とする分野はそれぞれ異なります。とくに気になる汚れがある場合は、当該箇所の汚れ落としを得意とする業者を選ぶことで、汚れが除去できる可能性を高めることが可能です。ほかにも以下のポイントをおさえることで、自身の状況に適した業者を選べたり、トラブルの防止を期待できたりすると考えられます。

賠償責任保険に加入している業者を選ぶ

賠償責任保険とは、日常生活や仕事中に起こったトラブルによって賠償責任を負った際、弁護士費用を含む賠償金を保証する保険です。賠償責任保険に加入しているハウスクリーニング業者を選ぶことで、万が一、クリーニングによって物損や漏電などのトラブルが起きた場合でも安心できるといえます。

とくに賃貸物件の入居前に依頼したハウスクリーニングによって物件に傷が生じてしまった場合、退去時に余計な修繕費が請求されてしまう恐れがあるため注意しなければなりません。ハウスクリーニング後は仕上がり状態をしっかりと確認し、傷を見つけた際は業者に修繕を依頼しましょう。

現地調査によって見積もりを提示する業者を選ぶ

現地調査によって汚れの状態を確認したうえで、見積もりを提示するハウスクリーニング業者を選ぶことをおすすめします。主な理由は、以下のとおりです。

・汚れの程度による追加料金の発生を防ぐ
・気になる汚れが除去できるかどうかを確認できる
・正確な見積もりの提示が期待できる
・清掃以外にかかる費用の有無を確認できる

見積もりを提示された際、念のため追加料金が発生しないかどうかを確認しておきます。入居前のハウスクリーニングは家具家電のない状態であれば費用を抑えられるため、現地調査日・ハウスクリーニング依頼日・荷物の搬入日を上手に計画するとよいです。

相見積もりをとって業者を比較検討する

適正価格を知ったり信頼できる業者を選んだりするためにも、ハウスクリーニング業者の比較検討は大切です。少なくとも3社に見積もりを依頼して、料金や清掃内容などを比較します。業者によって清掃方法や得意分野が異なるので、気になる汚れが除去できるかどうかを確認して比較するのもひとつの手です。
また、相見積もりを行う際は、業者に相見積もりを行う旨を伝えておくとスムーズに進められます。入居前のハウスクリーニングは時間に余裕のないケースも少なくないと考えられますが、現地調査で別の業者がかち合わないようにするなどの配慮が必要です。

業者の口コミや評判を確認する

入居前にハウスクリーニングを依頼する際は料金や清掃内容だけでなく、口コミや評判も確認するようにします。口コミや評判では、信頼できる業者であるかを確認できるだけでなく、ハウスクリーニング業者が得意とする分野を把握したり具体的な仕上がりイメージを掴んだりすることが可能です。仕上がり状態の満足度が高い業者を選び、気持ちよく新生活が始められるようにしましょう。

まとめ

賃貸物件・中古物件においては管理会社や大家とのトラブルを避けるためにも、あらかじめ付着していた汚れや傷を記録しておいたり、損害責任保険に加入しているハウスクリーニング業者を選んだりすることが大切です。また、入居前のハウスクリーニング費用を抑えたい場合は、家具家電の搬入前に依頼することや相見積もりでの比較をおすすめします。ハウスクリーニングを上手く利用して、美しく快適な生活を実現させましょう。

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