ハウスクリーニングは大掃除や季節の変わり目だけでなく、賃貸物件の入退去時や不動産売却時などで利用されます。頑固な汚れを除去できる特殊な薬剤や器具を使用して掃除が行われるため、掃除代行や家事代行よりも本格的な掃除を期待することが可能です。
また、ハウスクリーニングの料金は業者による違いだけでなく、間取りや場所によっても異なるため、費用相場をふまえたうえで見積もりをとる必要があります。
この記事では、ハウスクリーニングの費用相場にくわえて料金を安くする方法も紹介するので、ハウスクリーニングの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
ハウスクリーニングの費用相場はどれくらい?
ハウスクリーニングの料金は、一般的に訪問見積もりによって算出されます。見積もり時にチェックされるポイントは以下のとおりです。
・住宅の広さや掃除の範囲
・掃除のしやすさ
・汚れの程度
作業面積が広かったり汚れが酷かったりする住宅では、料金は高くなりやすいです。また、家具家電の有無や住宅の構造をはじめとする、掃除のしやすさも料金設定に影響を与えます。従って、住宅の状態によって費用相場よりも安くなったり高くなったりすることを理解しておくとよいです。
【間取り別】ハウスクリーニングの費用相場
ハウスクリーニングの料金は、部屋の広さによって異なることが一般的です。くわえて、家具を動かしたり養生が必要であったりする居住中でのハウスクリーニングは、空室時よりも20%から30%ほど高くなる傾向にあります。以下は、間取りごとのハウスクリーニングの費用相場です。
間取り | 空室時の費用相場 | 居住中の費用相場 |
---|---|---|
1R、1K | 15,000円~32,000円 | 15,000円~35,000円 |
1DK、2K | 18,000円~36,000円 | 24,000円~37,000円 |
1LDK、2DK | 23,000円~45,000円 | 32,000円~49,000円 |
2LDK、3DK | 39,000円~67,000円 | 47,000円~80,000円 |
3LDK、4DK | 47,000円~88,000円 | 57,000円~93,000円 |
4LDK、5DK~ | 62,000円~ | 100,000円~ |
業者によっては間取りを平方メートル(㎡)で定めていたり、戸建て住宅や集合住宅で料金設定が異なっていたりするケースがあります。見積もり時に確認しておくことで、依頼する業者を検討する際に正しく比較することが可能です。
【場所、設備別】ハウスクリーニングの費用相場
特定の場所や設備に限定して、ハウスクリーニングを依頼する方法もひとつの手です。汚れが酷かったり自身での掃除が困難であったりするケースでの利用に適しています。以下は、場所や設備ごとのハウスクリーニングの費用相場です。
場所、設備 | 費用相場 |
---|---|
浴室 | 12,000円~18,000円 |
キッチン | 12,000円~20,000円 |
換気扇 | 7,000円~15,000円 |
トイレ | 6,000円~9,000円 |
洗面所 | 6,000円~9,000円 |
エアコン | 8,000円~15,000円 |
床のクリーニング(6畳) | 9,000円~15,000円 |
窓ガラス、サッシ1式 | 3,000円~11,000円 |
カーペット | 20,000円前後 |
壁紙 | 5,000円~16,000円 |
水回り3点パック料金 | 16,000円~38,000円 |
水回り5点パック料金 | 23,000円~68,000円 |
依頼する箇所が増えるほど料金が高くなるケースが一般的です。なかには、複数箇所をまとめて依頼できるパックを用意している業者があります。場合によってはパック料金のほうが安価に抑えられることがあるため、パックをうまく活用するとよいです。
換気扇の費用相場に対する注意点
換気扇の費用相場は7,000円から15,000円ほどです。レンジフードとプロペラなどの形状によって、以下のとおり費用相場が異なる傾向にあります。
形状 | 費用相場 |
---|---|
換気扇(レンジフード) | 10,000円~15,000円 |
換気扇(プロペラ) | 7,000円~12,000円 |
換気扇の形状によって料金が変動することを留意しておくとよいです。また、キッチンや浴室などに設置されている換気扇においては、キッチンや浴室のハウスクリーニング内容に含まれているケースがあります。換気扇単体での料金とキッチン全体を依頼した場合の料金などを比較して、お得なほうを依頼するのもひとつの手です。
エアコンの費用相場に対する注意点
エアコンの費用相場は8,000円から15,000円ほどです。注意すべきは、エアコンの性能によって費用相場が異なる点であり、以下のような差があります。
性能 | 費用相場 |
---|---|
エアコン(基本機能) | 8,000円~10,000円 |
エアコン(お掃除機能付き) | 14,000円~18,000円 |
お掃除機能が搭載された高機能エアコンは複雑な構造になっているため、料金が高くなる傾向にあります。言い換えれば、高機能エアコンの掃除は個人ではむずかしいのです。ハウスクリーニングなどのプロに依頼すれば、高機能エアコンであってもパーツを分解しての掃除が期待できます。
【住宅タイプ別】ハウスクリーニングの費用相場
ハウスクリーニングの費用相場は部屋の広さで異なります。くわえて、同じ広さであっても戸建て住宅と集合住宅では費用相場が異なるケースも少なくありません。以下は、戸建て住宅と集合住宅のハウスクリーニングの費用相場です。
住宅タイプ | 費用相場 |
---|---|
戸建て住宅 | 65,000円~140,000円 |
集合住宅 | 49,000円~100,000円 |
マンションをはじめとする集合住宅と比較して、戸建て住宅は費用相場が高い傾向にあります。戸建て住宅には廊下や階段など、クリーニングが必要なスペースが多いことが理由です。
ハウスクリーニングの料金が費用相場よりも高くなる原因
住宅の状態によっては、費用相場よりも料金が高くなる場合があります。実際の料金は業者の見積もりを確認しなければわかりませんが、費用相場よりも高くなる原因を知っておくことで費用が抑えられるかもしれません。見積もりを依頼する前に、以下のポイントを確認しておくとよいでしょう。
汚れの程度が酷い
汚れの程度が酷い場合は、ハウスクリーニングの料金が高くなる傾向にあります。とくにカビ・サビ・ヤニなどが酷い箇所は、特殊な薬剤や器具が必要になったり通常よりも手間がかかったりするため、費用相場よりも高くなりやすいです。場合によっては別途料金が発生するケースもあるので、気になる汚れがあるのであれば見積もり訪問時に確認しておくようにします。
戸建て住宅
集合住宅と比較して、戸建て住宅は料金が高くなりやすい傾向にあります。戸建て住宅には廊下や階段などのスペースがあって掃除の手間がかかったり、同じ間取りであっても集合住宅よりも面積が広かったりするためです。ほかには、洗面所やトイレが2箇所あるなど、掃除を必要とする箇所が多いことも理由としてあげられます。従って、戸建て住宅のハウスクリーニング料金は、費用相場より高くなりやすいことを留意しておくとよいです。
駐車場がない
ハウスクリーニングは掃除道具の運搬のために車を利用することが多く、業者が利用する駐車場の料金は、依頼者の負担となるケースが一般的です。なかには駐車料金を請求しない業者があるとはいえ、駐車場を所有していない場合は駐車料金を別途請求される可能性があることを知っておきましょう。
また、駐車場がないことを理由に費用相場よりも料金が高くなるケースとして、ハウスクリーニングに依頼する箇所が多いことがあげられます。依頼箇所が多ければ作業時間が長くなり、駐車料金が高額になりやすいためです。見積もり時には、駐車料金の請求の有無を確認しておくだけでなく、最寄りのパーキングの駐車料金を調べておくことをおすすめします。
家具家電などの荷物が多い
居住中などによって家具家電をはじめとする荷物が多い場合、費用相場よりも高くなる可能性があります。荷物が多い状態でのハウスクリーニングは、通常の清掃作業にくわえて荷物の移動や養生などの作業を行う必要があり、その分の人件費やスタッフの負担が発生するためです。荷物を搬出する予定があれば、見積もり時にその旨を伝えておくとよいです。
ハウスクリーニングの料金を費用相場よりも安くする方法
ハウスクリーニングでは、プロによる高いクオリティの掃除を期待することが可能です。一方で、依頼する箇所が多かったり酷い汚れがあったりする場合、費用がかさむデメリットを併せ持ちます。以下は、ハウスクリーニングの料金を費用相場よりも安くする方法です。少しでも費用を抑えたい場合に有効な方法ですが、必ずしも料金が下がるわけではないことを理解しておきます。
荷物を移動させて掃除しやすい状況を作る
荷物がある状態とない状態とでは、ハウスクリーニングの料金が異なります。居住中をはじめとする家具家電がある状態であれば、荷物の移動や養生に人件費や手間がかかってしまうためです。従って、家具家電を搬出したあとに依頼するか、床に荷物を置きっ放しにしないなどして、費用相場よりも安い料金でハウスクリーニングを依頼できる「掃除しやすい環境」を作っておくことをおすすめします。
繁忙期を避けてハウスクリーニングを依頼する
ハウスクリーニングには繁忙期があるため、繁忙期を避けたり閑散期に依頼したりすることで費用相場よりも料金を抑えられる場合があります。可能であれば避けて依頼したいハウスクリーニングの繁忙期は、以下のとおりです。
・引っ越し時期:3月ごろ
・エアコンクリーニング時期:6月から9月ごろ
・大掃除の時期:12月ごろ
9月から11月の秋頃の閑散期に依頼できれば、価格交渉などによって費用相場より安く依頼できる可能性があります。なかには閑散期に特別料金を設けて値下げをしている業者があるため、必ずしも料金表からの値下げが実現できるとは限りません。無理な値下げ交渉を行うことがないように注意しましょう。
複数箇所をまとめて依頼する
一箇所のみを依頼するよりも、複数箇所をまとめて依頼することで料金を抑えられる場合があります。たとえば、キッチンやトイレなどの水回りに関するお得なパックを利用したり、複数箇所の依頼を条件に価格交渉をしたりするのもひとつの手です。見積もりを依頼する際は、一箇所のみを依頼するケースと複数箇所を依頼するケースの2パターンで提示してもらい、比較検討することをおすすめします。
複数のハウスクリーニング業者で相見積もりをとる
ハウスクリーニングにかかわらず、複数の業者で相見積もりをとって比較検討することは大切です。相見積もりによる比較検討は、費用相場よりも安い業者を選べるだけでなく信頼できる業者選びにも役立ちます。注意すべきは、見積もりを依頼する前に相見積もりをする旨を業者へ伝えておく点です。事前に了承を得てから比較検討することで、スムーズな見積もりが期待できます。
また、業者によって広さや間取りの定義や、得意とするサービスが異なっている点を留意しておくとよいです。同じ条件で比較してこそ、安い料金で依頼できる業者が選べるといえます。ただし、極端に安い料金を提示する業者は技術力などに問題がある恐れがあるため、作業内容や口コミ・評判などを確認したうえで慎重な判断が必要です。
可能な範囲は自分で掃除して依頼箇所を減らす
ハウスクリーニングは依頼する箇所が増えるほど料金が高くなるため、できる範囲は自分で掃除して費用を下げるとよいです。窓や玄関などは比較的自分で掃除しやすい場所であり、掃除グッズを購入してもハウスクリーニングの費用相場よりも安く済むと考えられます。自分で落とせない頑固な汚れがある箇所に限定して依頼することで、ハウスクリーニングにかかる費用の削減が可能です。
また、こまめに掃除をしたり掃除代行サービスを利用したりすれば、汚れの蓄積や頑固な汚れを抑えられます。ハウスクリーニングを依頼するまで時間に余裕がある場合は、少しずつ掃除しておきましょう。
不動産売却時にハウスクリーニングを行うメリット
賃貸物件の入居時・退去時におけるハウスクリーニングの費用負担は、賃貸物件契約によって定められています。通常であれば、国土交通省の定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のとおり大家が負担しますが、特約によってハウスクリーニングの費用を借り主負担と定めている場合は借り主が負担しなければなりません。一方で、所有している不動産の売却においては、ハウスクリーニングを行うかどうかは所有者が自由に判断できます。
たとえば、ファミリー向けの3LDK以上のハウスクリーニングにおける費用相場は47,000円から88,000円ほどです。費用を負担して得られるメリットとして、以下の2つがあげられます。
・汚れを理由とした値下げ交渉を防げる
・買い手を見つけやすくする
一般的に、買い手は少しでも安く不動産を購入するために値下げ交渉を行います。ハウスクリーニングによって住宅の状態をよくすることができれば、汚れによる値下げ交渉を防ぐことが可能です。くわえて、ハウスクリーニングによって住宅の価値を上げることができるため、汚れたままの状態よりも売れやすくなると考えられます。従って、費用はかかるとはいえ、ハウスクリーニングによって得られるメリットは少なくないといえるでしょう。
参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)/国土交通省住宅局
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
ハウスクリーニングを活用して費用相場以上のメリットを得よう
ハウスクリーニングによる掃除は特殊な薬剤や器具が使用されるため、個人では対処できない汚れの除去や高い清掃クオリティが期待できます。とくに不動産売却時においては、値下げ交渉を防止したり買い手が見つけやすくなったりするなどのメリットが得られることからも、前向きに利用を検討するとよいです。また、住み続ける住宅である場合においては汚れの蓄積防止にくわえ、エアコンなどの家電では電気代削減につながる可能性があります。
ハウスクリーニングを利用する際は、費用相場を把握したうえで相見積もりを行い、料金に納得できたり信頼できたりする業者を選ぶことが大切です。さらに、水回りの掃除などで引き起こされた漏電や荷物の移動時に発生した傷などの事故に対する、損害賠償保障のある業者を選ぶと安心できるといえます。保障の有無にくわえて、保障の範囲や内容をあわせて確認するのがおすすめです。
ハウスクリーニングを上手く活用して、費用相場以上のメリットを得てくださいね。